立読み書評 朝井リョウ「何者」(ネタバレ)

直木賞芥川賞を取った話題作。多分直木賞だと思う。就活ネタの話だ。
なんだか、ネットでは終盤が面白いという評判だったので最後だけ立読みしてきた。最悪な読者である。残念ながら紙の本を置くスペースが限られているので買えない。
オチはツイッターの裏アカウントで友達の悪口を書いていたらバレて説教されたとかっていう、就活そのものより、それを通じて今の若者の人付き合いというのかなんというのかをえぐったりほじったりする方向に話がまとまっていた。
「今の若者」っつっても10年以上前から個人のホームページとか、ブログとか、ミクシィとか似たようなものがあったわけで(普及の度合いは違っただろうが)今はそれがツイッターだというだけのことで、別にネットがなくても影で悪口をいってたのがバレてシメられるという話は成立するし、話の構造として斬新なわけではないと思うけど、でもこれは評判を得ただけあって、面白かった。まあ全部読んでないけど。

個人的には、そもそも上っ面で人と付き合うのが特に学生時代は全然できなくて友達が少なかったけどあんまり気にしてなかったから、話自体に共感できることはあまりなかった。
「桐島、部活辞めるってばよ」(ナルト調)も読んで面白いかどうかは別として、個人的な共感はあんまりない気がして読んでない。あっちは高校のスクールカーストがどうの、というネタらしいけど俺の学校にはあんまりそういうのがなかった。高校時代輝いていたわけでもないが鬱屈してたわけでもないし。いや、嫌なことがなかったわけじゃなかったんだろうがあんまり覚えていない。
というわけでおっさんになると人間として立派になるようなことはあんまりないけど、こういう若者向けの話に共感する感受性がどんどんなくなっていくんだなーと思った。